夜間日記

2022年8月1日~2023年7月31日

第275夜

玄関扉の上部の壁に、ネジ穴が1つ空いていた。私は鍵ではなく、アルミ製のハンガーの持ち手を、そのネジ穴に差し込み、思い切り右に回した。ガラガラという轟音と共に、家の中にある数個の部屋が、まるで観覧車のように、地中から地上へ、地上から地中へ、時計回りに回っている感覚があった。ハンガーを抜くと、扉が開いた。私は、家の中がガラガラ回るのが面白くて、また扉を閉じてハンガーを差し込み、回しまくった。しばらくすると、ガコン、という音と共に、ネジ穴の引っ掛かりが無くなり、ハンガーを回す手応えが無くなった。遂に壊してしまったようだった。地中に潜ったままの部屋には、二度と入れなくなってしまった。

7時間19分27秒。