夜間日記

2022年8月1日~2023年7月31日

第276夜

私の刺殺を企んでいる殺人鬼がいるらしい。刃渡り20センチの包丁を振り回して、私を探している。殺人鬼は大柄な男で、左腕にある3針縫った傷跡が目印だという。私は、家中の窓に鍵を掛け、雨戸を下ろし、真っ暗な自室にこもって、内側から全身でドア押さえつけて籠城した。やがて家のインターホンが鳴り、次々と客がやって来て、ドアの向こうが騒がしくなり始めた。突然、「リビングでパーティーが始まったよ」と、ドアをこじ開けてくる男がいた。彼の右手には包丁が握られていた。こいつが例の殺人鬼か、と構えたのも束の間、彼の背後を見ると、それぞれ自分の包丁を握りしめたパーティー客が十数人、笑顔で私を見つめていた。男は私を部屋から引きずり出し、私の背中にピッタリと包丁を押し付けながら、音楽に合わせて、リビングの真ん中でひとしきり社交ダンスを踊った。周りの客からは歓声が上がった。1曲終わると、次の曲からはパーティー客1人1人と踊る羽目になった。全員もれなく包丁持ってるが、私の身体に当てるだけで、刺してはこない。全員と踊り終わると、「着替えのため」と言って別室へと連れ込まれ、そこで麻酔が注射されて、私は気絶した。目覚めると、私はリビングの中央に寝転んでおり、私を取り囲むようにして、パーティー客たちが談笑していた。私は「いつから裏切っていたのか」と叫んだ。誰かが「時期はみんなバラバラだね」と言ったような気がした。

7時間8分43秒。