夜間日記

2022年8月1日~2023年7月31日

第126夜

町内放送で、町中に警報が鳴り響いた。「今日は身体に電流が流れる日です」という合図である。相応の対策をしないと、全身が痺れて、夜までには死んでしまう。専用の特殊なレモンタブレットを噛み砕くか、それが無ければ、ゆで卵を食べることで症状が改善される。昨日は丁度タブレットの残りがあったから助かったが、今日の分は無いため、買いに出掛けることにした。タブレットは通販か専門店でしか取り扱いが無いため、仕方無く、近所のスーパーまで卵を買いにやって来た。スーパーには私と同じように、タブレットの代替案として卵を買いに来た客で溢れかえっており、結局、卵は売り切れで買えなかった。帰宅途中、道端で同級生に会ったから話しかけたが、彼に私の声は聞こえておらず、私の姿も見えない様子だった。私は、自分でも気付かないうちに死んでおり、既に幽霊となってた。

6時間48分21秒。