夜間日記

2022年8月1日~2023年7月31日

第268夜

ライブハウスに入ると、ちょうど転換時間のようで、照明で照らされたステージには誰も居らず、フロアにパイプ椅子を並べただけの客席では数人の客たちが静かに談笑していた。私は1番後ろの、出入り口に1番近い席に腰を下ろして、開演を待った。前方の席に座る男性2人組が、私の方を振り返りながらヒソヒソと話し合っている。かと思うと、彼らは唐突に立ち上がって、パイプ椅子の間を縫うようにこちらへと歩いて来た。私は怖くなって、慌ててロビーへ逃げ込んだ。彼らは確実に私を捕まえようとしているように見えた。私はそのまま受付カウンターも通り過ぎて、ライブハウスから駆け出た。すると、通りの向こうから知り合いの集団が歩いて来るのが見えたので、私は慌ててフードを被り、俯きながら大通りへと逃げ出した。

8時間25分0秒。