夜間日記

2022年8月1日~2023年7月31日

第254夜

全校生徒数百人で動物園へ遠足に来た。ここは動物の檻のほかに、プールやログハウスがそこかしこに点在しており、まるでハワイアンズのような広大なテーマパークだった。私たち生徒には、園内を観光しながら「フレンド」を作る、というミッションが与えられた。制限時間内に、学年問わず、何人とフレンドになれるかを競う個人戦である。私は早速、ゴリラの檻の前にいた後輩2人に「フレンドになろう」と声を掛けた。2人は快く承諾してくれたが、私は側を通り過ぎていく同級生の集団を見つけてしまい、あろうことか、2人をほったらかして同級生たちに駆け寄った。ここで、園内に終了のチャイムが響き渡った。ハッと我に帰り、大慌てで先の後輩たちの元へ戻ったが、2人居たはずの後輩の片方しか居なかった。「もう1人はどうしたの」と尋ねると、後輩は「消えてしまった」と言う。私たちは、集合場所に向かう生徒たちの流れに逆らって、消えたもう1人を探すために園内を走った。消えた張本人は、人気のないエリアのログハウスに立て籠っていた。私は裏口から室内に入り、内側から鍵をかけた。途端、ドンドンドン、と外から激しくノックされた。「集合時間を過ぎているぞ」「出てこい」と叫ぶ先生たちの声が聴こえる。私は、部屋の隅にいた後輩の腕を掴み、ロフトに引っぱり上げて、抱きしめた。2度とこの子を消えさせてはならない、と心に誓った。まもなく、ログハウスのドアが破られ、大勢の大人が雪崩れ込んで来た。

7時間6分10秒。