夜間日記

2022年8月1日~2023年7月31日

第132夜

授業が終わり、教室を出ると、廊下も階段も真っ暗闇で、すっかり夜だった。他に生徒は誰もおらず、校内は私1人だけである。階段を降りると、踊り場にアルミ製のドアが2枚並んでいる。どちらか「正解」に続くドアを開けないと、学校から出られない。私は、窓から差し込む満月の明かりと、窓からよく見える位置に聳え立つ大きな観覧車を目印に、校門の方角を見定め、右側のドアを開けた。さらに続く階段を降り、踊り場で2枚のドアから一方を選んで開け、また階段を降り、ドアを選び、階段を降り、それを幾度となく繰り返して、最後に大きな観音開きの木製のドアを開けると、途端に明るい空間に出たので、私は目を細めた。そこは、オレンジ色の夕陽が差し込み、大勢の生徒たちが騒ぐ、いつもの放課後の昇降口であった。

6時間43分25秒。