夜間日記

2022年8月1日~2023年7月31日

第51夜

私立の女子中学校は、学生運動の真っ最中だった。校舎には何本もの断幕が掲げられ、騒がしい校内とグラウンドを横目に、私は校舎1階の突き当たりにあるお茶屋さんに入った。古民家風の和室が広がる店内は、ボックス席ごとに障子の板で仕切られており、決起集会の準備や話し合いをする生徒たちで賑わっていた。私は逮捕されたくないので、集会に興味無い振りを装い、平然と席に着いて、女将に抹茶を注文した。運ばれて来た抹茶は、茶道で出される茶椀のような大きなお椀になみなみと注がれており、私は両手の平で持ち上げて口に運んだ。

5時間57分20秒。