夜間日記

2022年8月1日~2023年7月31日

第8夜

中学2年生の夏。学年全員で、1人1人20枚の皿を両手に抱え、グラウンドから教室までを、列を成して歩く行事があった。廊下の角や階段の途中では、必ず一度立ち止まらなければならない。皆、皿を落とさぬよう、列を乱さぬよう、黙って慎重に歩いていたが、私はその張り詰めた空気に耐えかねて、抱えていた皿を地面に叩きつけた。列から抜けて走り出し、学校の敷地外まで逃げ出した。住宅街の建物をよじ登り、屋根から屋根へと飛び移って、逃げた。途中で、逃亡生活を共にする仲間に出会った。2人で東京の街を駆け回ったが、遂に追っ手と対面した。

私の仲間が、高さ10メートルほどのクレーンを運転してきた。クレーンのフックには、赤い観覧車のワゴンがぶら下がっており、大きく「長崎号」と書かれていた。仲間は、「このワゴンからなら敵を狙撃できる」と言った。私はワゴンに乗り込み、クレーンで持ち上げられた。標的確認のスコープを覗き込み、スコープの中心に敵を捉えた私は、仲間に「撃て」と叫んだ。落雷のような、けたたましい打撃音が響き渡った。

6時間5分15秒。