夜間日記

2022年8月1日~2023年7月31日

第362夜

市民会館の建物の脇を、他の出演者たちと共に、ホール楽屋入り口を目指して列を成して歩いていた。楽屋入り口では持ち物検査をするカウンターがあって、会館スタッフがやって来た出演者たちのリュックやスーツケースやらの中身をチェックしている。私も検査の順番を待ちながら並んでいると、何やら前方で騒がしい声が聴こえてきたので、何事かと思い行ってみれば、1人の全裸のおばさんが、会館スタッフたちに取り囲まれて口論していた。私は全裸のおばさんに、「出演者なら中に入っていいんですよ」と言うと、おばさんは私を見て、「私はここで待たなきゃいけないんだ」と叫んだ。私は、「バスタオルか何か羽織れるものを持ってきましょう」と言って、楽屋入り口から建物内に入った。

建物の中は、軽く3階分は吹き抜けの、巨大な屋内プールの空間だった。幅1メートルほどの流れるプールのレールが、まるで流しそうめんのように、天井付近から1階まで、立体的に張り巡らされている。私は呆気に取られてしまい、バスタオルを探すのも忘れてプールへと飛び込んだ。先ほどの全裸のおばさんを捜そうと思い立ち、水を掻き分け、2階くらいの高さまで泳いで来ると、例のおばさんが俯いていて立っている。「こんな所に居たんですね」、私が声を掛けると、おばさんは顔を上げて、そして、プール内に立っているのにも関わらず、おばさんの身体は唐突に、音もなく燃え上がった。

7時間10分23秒。