夜間日記

2022年8月1日~2023年7月31日

第333夜

都心のタワーマンションに引っ越して来た。全40階建ての1階から5階までは商業施設となっており、6階から20階あたりまでがオフィス、その上が住居である。私の部屋は30階あたりにあって、ワンフロア全てが私の私有地だった。10帖ほどの寝室が3つと、20帖近くある広いリビング、ガラス張りのバスルーム、トイレがある。私は3つあるうち、どの部屋をメインの寝室にしようかと考えながら、まだ何も置かれていない伽藍堂な部屋をウロウロ歩き回っていたのだが、ふと、どの寝室も、マンションの外廊下や外階段、ないしは階段の踊り場に直結していることに気が付いた。これでは、他の階の居住者だけでなく、下の商業施設やオフィスを使う人たちが、私の部屋を自由に出入りできてしまう。と気付いたのも束の間、ひとつの寝室に、5歳くらいの少女が座っているのを見つけた。この部屋の隅は、マンションの外階段に繋がっている。階段には母親と見られる女性が立っていたため、私は「ここは私有地ですよ」と叫んだ。

8時間42分50秒。