夜間日記

2022年8月1日~2023年7月31日

第322夜

小さな犬がいた。駅前ロータリーに、体長15センチほどの真っ黒なトイプードルが、まるでぬいぐるみのように、地面に伏せて座っていた。ロータリーの反対車線に、犬を飼っている友人の姿が見えたので、私は、もしかして友人の飼い犬が脱走したのかも、と思い、トイプードルを掴み上げて、大声で友人を呼んでみたが、友人は見向きもせずに行ってしまった。片手に掴んだトイプードルを見下ろすと、全身を覆っていた真っ黒な毛が全て抜け落ち、ピンク色の皮膚が剥き出しになった状態で、虫の息になっていた。

5時間15分39秒。