夜間日記

2022年8月1日~2023年7月31日

第314夜

高校生の組体操大会の審査員をやることになった。グラウンドには全国から数百人の高校生たちが集まっており、それぞれ30人ずつ、各学校のクラス単位で出場している。ひとクラスにつき1曲の持ち時間で組体操を披露し、私を含めた数人の審査員が採点して、その合計点で優勝が決まる。あるクラスは、男女共にいかにも運動神経が良さそうなメンバーが中心となり、難しい大業を成功させていたが、私たち審査員の表情は曇っていた。確かに技術はすごいが、パフォーマンス全体に学生らしい活気が感じられないのである。結果、このクラスは予選敗退となり、審査員たちも「仕方ないね」という雰囲気だったのだが、敗退が発表されるやいなや、このクラスのリーダーである男子生徒が審査員席に詰め寄ってきた。彼はしきりに「自分たちのクオリティで予選敗退は納得できない」と訴えるので、私は、「例えば、実際にやる気があったりしたとしても『やる気があるように見えるパフォーマンス』になるとは限らない。技術の良し悪し自体が表現力に直結するとは限らないよ」と説いた。彼は悔しそうに「来年リベンジします」と宣言した。私は「自分は来年は審査員やらないと思うけど、まあ頑張って」と言っておいた。

7時間28分6秒。