夜間日記

2022年8月1日~2023年7月31日

第207夜

寂れた遊園地で、ピエロと遭遇した。一般的な派手な衣装ではなく、汚れたモッズコートにカウボーイハットを目深に被って、帽子の下から白塗りの顔と黒く縁取られた目を覗かせていた。その異様な雰囲気に私が後ずさると、ピエロはおもむろにコートから銃を取り出して、私に向かって低く構えた。私は脱兎の如く逃げ出した。背後から、恐ろしい形相でピエロが追いかけてくる。私は背中に何発もの銃弾を撃ち込まれながら、客の少ない遊園地内を逃げ惑った。命からがら、園内の僻地に佇む小さな神社に駆け込んだ。ピエロは、神社には入れないようである。神社の石塀の隙間から、顔と銃口だけを覗かせて、私を睨んでいる。私は境内で掃き掃除をしている宮司に「お願いだから建物の中に入れてくれ」と泣きついた。

4時間46分57秒。