夜間日記

2022年8月1日~2023年7月31日

第142夜

同級生が発行する小説同人誌のファンなのだが、突然「次号休刊」の知らせが出たため、心配になった私は、編集本部の建物までやって来た。私鉄の鈍行に揺られて数時間、戸建てや神社が立ち並ぶ静かな町の、ひと際大きな日本家屋が、その編集本部であった。出迎えてくれた同級生は、休刊の経緯を話してくれた。なんでも、彼の両親が「学生時代は不登校だったくせに、何故今更になって嬉々として雑誌を制作、発行しているのか」と詰め寄って来たのだという。私は「それは反論の余地がないね」とコメントした。加えて、「天気予報では大雪らしいが、この家屋は大丈夫なのか」と質問すると、彼は「茅葺き屋根じゃないから大丈夫」と言って、私を敷地内の蔵に案内した。

5時間45分40秒。