夜間日記

2022年8月1日~2023年7月31日

第298夜

アーケード街を歩いていた。1階に商店が入る雑居ビルが何軒も建ち並び、営業しているのかいないのか、どの店も入り口は開いているものの、客や店員の姿が見えない。私は1人、マクドナルドの看板を掲げた店に入った。店内の壁はコンクリート剥き出しで、ガレージのように伽藍堂な空間に、家庭科室にあるような大きな調理台が数台並んでいる。店の奥から年配の夫婦が出てきて、仏頂面に「ご注文は」と言う。私は少し肌寒かったので、ホットコーヒーを頼むことにした。数分待って、おばあさんからカップを受け取った。温かいそれを持って、店を出て、歩きながら何口か飲み下した。ふと、カップの蓋を開けて中を見てみると、コーヒーが入っているはずのそこには透明の液体が波打っており、ただのお湯であった。私は踵を返し、先程の店に駆け込んで、「こんなの、バレるに決まってるでしょう」と叫んだ。

8時間9分45秒。