夜間日記

2022年8月1日~2023年7月31日

第5夜

ショッピングモールにて、従業員出入り口の観音扉を開くと、薄暗く広い空間に出た。巨大な正方形の空間に、中央に平家の日本家屋、その周りをぐるっと一周、長屋が囲んでいて、「回」の字の形で、江戸時代の街並みが再現されていた。家屋は全てオープンテラスであり、小学生くらいの舞妓たちが、せっせと働いている。客は1人もいないので、舞妓たちは私を無言で凝視している。私は大声で「特別な教養も無ければ、かといって、子どもらしい美徳も無い」と、坂口安吾の一節を叫んだ。各店の店主のおじさん達が掴みかかって来たが、私はまた、観音扉からショッピングモールへと逃げ戻った。1人の舞妓が扉から顔を出し、「ここから抜け出したい」と言った。了承して、その子を連れ出した。ショッピングモールを抜けると、城と田んぼばかりの小国に出たので、そこで女の子を預かってもらう事にした。

7時間16分10秒。